おわったぁ!!!!

……文才のなさを公表してどうするんだろう……
羞恥ぷれいか?







すべてが白く染まった世界で、ただ一人赤をまとうその姿に欲情した。



椿色の雪






雪がちらつく中、湯と酒で染まった肌が湯帷子から覗く。


赤い髪と白い服だけでも十分美しいのに、朱色に色づいた首筋、頬、耳。

遊ぶように湯を混ぜるその指先や湯の中で組み替えた足首が、弁慶の劣情を煽っていることに、この可愛い思い人は気付いているのかいないのか。






「ヒノエ、ちゃんとつからないと風邪をひきますよ」





そんなことになったら折角ここに来た意味がなくなるでしょう。



そういえばしぶしぶといったように腰掛けていた縁から湯の中に滑り込んだ。






部屋についている露天風呂はそう広いわけではない。

だから、触れた肩の冷たくなった感触に、弁慶は眉を寄せた。




「本当に、風邪でも引いたらどうするつもりなんです?」








二人、すべてから逃れたくて、人里離れた山奥の旅館に辿り着いた。

まるで駆け落ちか、はたまた不倫旅行かと。

眠るヒノエに肩を貸しながら揺られた電車の中で、苦笑しか出てこなかった。









「なんなら僕が暖めて差し上げましょうか」



一瞬びくりと揺れた肩が、諦めたように、甘えるようにこちらに寄り添ってくる。



湯より、温泉より、ヒノエのすべてが弁慶を熱く酔わせる。






最初から、そのつもりだったくせに。








尖らせた淡い唇を、覆いかぶさって塞いだ。













この白い世界で君と二人どこまでも落ちていこう。


いつか触れあった温度と共に湯の中に溶けて混ざり合ってしまえばいい。


そうすればもう絶対に離れない。








END









「ここと部屋、どちらがいいですか?まぁでも部屋まで待つ気はないんですが」

「湯あたりしたらどうすんだよ」

「その時はぐったりした君を心の底まで鑑賞させてもらいますよ」

「…………」

「勿論水は口移しで飲ませてあげます」

「あんた、本当に最悪だな」

「僕にとっては最高の褒め言葉ですよ」